GA用ツール

ここではGAを実現するためのプログラムの方法について述べる． GAのアルゴリズムは比較的簡単であり，サンプルソースコードも本などで紹介されている．例えば著名なつぎの本にはシンプルGA(SGA)といわれる最も基本的なGAについてパスカル言語で記述したソースコードが掲載されている．

David E.Goldberg: Genetic Algorithms in Search, Optimization, and Machine Learning, Addison-Wesley Pub., p.412 (1989)

これらを参考にプログラムを作成すればよい．
著者も最初はこの方法を採用したが，やがて多くのパブリックドメンソフトやフリーソフトが存在することを知り，これをツールとして使用することによりGAのプログラムを作成することができることが分かり，学生の研究指導にはそれらを使用することにした．多数のプログラムがあるが，それらの中からGENESISとGENITORを選んで使用することにした．これらを使用する場合の注意としては，プログラムの中身を知らなくてもマニュアルを読めば一応は使用できるが，本当に効果を発揮させるにはソースコードをよく読み，必要によっては改造を行うなどが必要である．またこれらとは別にWeb上でアプレットとして実行できるGAソフト Genava(Geneitc Algorithms by Java)を開発して使用することも始めた．以下にこれらのプログラムの特徴を簡単に述べる．

GENESIS：ビットストリング表現，実数表現のGAに適している．利用者はGENEISより与えられる遺伝子表現を受けて適合値を計算する適合関数のプログラムのみを作成すればよい．実行に際して20個のオプションが指定でき，それにより各種のモードでの実行や各種のデータが採取できる．選択方式にはルーレットホイール方式とランク方式のいずれかを使用でき，交叉方式は2点交叉を用いている．また出力用に各種のファイルがあり，それにより動作の解析が容易にできる．
GENITOR：整数の順序表現のGA に適している．順序表現ではビットストリング表現の場合と交叉，突然変異の方式が全く異なっているので，別のプログラムとして扱ったほうがよい．選択にはランク方式を採用している．プログラムは各種用途への使用を考えてコンパクトに作られ，大域変数も少ないので，プログラムの追加，変更が用意である．利用者は遺伝子表現を受けて適合値を求めるプログラムを作成すればよい．セールスマン巡回問題(TSP)を例に適合値を計算するプログラムをサンプルとして添付しているので，これを参考に作成できる．実行に際して20個のコマンドオプションを指定できる．
Genova：アプレットとしてホームページで実行でき，各種パラメータをGUIを利用して設定でき，実行結果のグラフィック表示もできるようになっている．遺伝子表現にはつぎの2種のものがある．
- ビットストリング表現用：Genova-b
- 整数の順序表現用：Genova-p
参考にこれまで適用した方式を一覧表に示している．
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小野俊彦 (Toshihiko Ono)